やさしいあさ

気高くなりたいのかもしれない

11/18

過去の日記をだらだらと読み返していたら、意外と面白く読めた。文才も面白力(おもろぢから)も両方なくても、人を楽しませるほぼ唯一といってもいい方法は追い詰められることだ。何かに追い詰められて言いようもない不満を文章にぶつけているような、それが感じられる文は先述した二項がなくてもなんとなく読めてしまう。これのなにが怖いってこれを突き詰めた先が狂化エンドなんだろうなと予想できてしまうところ。追い詰められることと狂うことはほぼイコールで繋がっていて、さらにその方程式の右側に面白いがイコールでまた連結されてしまうケースが多々ある。面白くはなりたいが、狂いたくはない。このメタ認知さえあれば狂わずにいられるのだろうか。もうとっくに狂っている可能性もある。welcome to underground.

11/9 夢のステーキ

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 ぼちぼちインド日記を再開する。書けそうな日からピックアップして書いていくスタイルにしよう。

いま私はハイデラバードというインドの北東の都市にいる。ここはかなり都会の方らしく、たくさんの車とトゥクトゥク排気ガスを出しながら往来している。4日前までいたブッダガヤは古き良き田舎という感じで、交通量もこれほど激しくなく、空気も人もどこか泰然としていた。それに対してハイデラバードは歩くだけで東京にいるのかと錯覚してしまうぐらい車も人も店も多い。

その分、デパートなんかはどれも近代的で、巨大で、ぴかぴかした雰囲気をたたえている。インドでぴかぴかした建物、人、商品に囲まれることができる機会は貴重だ。ぴかぴかがどうしても恋しくなり、この日はデパートを2軒も梯子してしまった。自身の姿が反射するくらい磨き込まれた床にホッとする。清潔な映画館で清潔な映画を見て、清潔なショップで清潔な買い物をして、清潔なフードコートで清潔な食事をとる。日本のそれとほぼ変わらない生活に、身も心も意志に反して安心するのを感じる。清潔に安心する心なんて唾棄すべきと常に考えている私の意志に反して、私の身体が清潔さに芯からほっとしているという、その矛盾を美しく感じた。

フードコートでは鉄板で出てくるチキンステーキを食べた。日本のファミレスではお馴染みのこのジュージューと鳴く鉄板を久しぶりにみて思わず頼んでしまったが、出てきたものを見てたまげた。

 なんか、夢みたい。

まずビジュアルに関して述べよう。日本よりアチアチに鉄板が設定されているのか、肉から出る熱気が尋常ではない。湯気がゆらゆらを通り越してぬらぬらしている。馬鹿みたいな量の細長いコメとスパイシーなチキンステーキ。絶対いらないだろというポテト、言い訳みたいに添えられたカラフルな野菜。それらを上から塗りつぶす茶色い液体。盛り付けのセンスが日本離れしているせいで、なんだか夢を見ている気分になったのだ。架空のステーキを食べている気分になる。

見た目が夢みたいなのに加えて、さらに味もまた夢みたいだった。こちらも夢みたいに美味しい、ではなく、寝るときに見る夢にでてきそうな、という意味で。インドらしくスパイシーな味付けではあるのだが、肉やポテトに芯のところの旨みというか味がなく、まるで肉という情報、ポテトという情報を食っている感覚。夢の中で、脳内で作り出された肉プレートを食べているみたい。

ぴかぴかの店で夢みたいな肉のプレートを食うのは、インドの体験としてはどこか現実感に欠けていて、デパートをVRで再現したらこんなかんじかなとふと思った。夢みたいな現実がみれて満足だ。

10/25 日記に見せかけた腹痛実況2

これあれだ。出ないタイプのやつだ。このドミトリーとは相性が悪いなあと常々感じる。気持ちのいい瞬間はあるが、それと同時に圧倒的な不快指数を叩き出す。まず部屋から出る度に野犬と飼い犬の境目を反復横跳びしているような犬に5万デシベルで吠えられるのは心臓に悪い。ホステルに住んでる犬なら流石に異邦人に慣れてくれ。部屋を出る用事の大概はウンコなので、吠えられる度にウンコが5cm引っ込んでしまう。クソ犬と名付けよう。

10/26 日記に見せかけた腹痛実況

 

現在27日時点だが、毎日更新と一度決めた以上は、日記を1日も欠かさずかかなくてはならない。が、昨日のことを思い出そうとしたまさにこの瞬間、腹が痛くなりかけている。腹が痛いのは、本当に良くない。本当に。痒いことと腹が痛いことは人間が経験する苦しみの中でも割と気軽にやってくる部類だが、毎回こんなことあってはならないことだと新鮮に思う。少し耐えれる分、脳みそが回る余裕もあり、余計に苦しみを感受してしまうのだろう。くそが。今トイレに行ったけどなにも出てきやしねえ。まだ決定的な腹下しはしてないのだが、それが余計に怖い。ブッダに祈れ。

10/27 日記

痒い。痒過ぎる。一泊400円のドミトリーに滞在しているのだが、尋常じゃない量の蚊がいる。ブンブンブンブン寝る時に2体が身体の周りを這いずり回って睡眠の妨害をしてきやがるのだ。皮膚を触る度に凹凸が増えていく。インドの蚊は日本のものよりデカくてうるさい。そんなところまで風土を出してこなくても良いのに。人や街に翻弄されるのとは訳が違う苛立ちが私を襲う。蚊て。痒みが思考力を奪っていき、旅でのんびりした気持ちがささくれ立っていく。蚊て。一文字だから変換が1発で出ないのにも腹が立つ。蚊帳も変換の出しづらいところまで押し込められているし。どこまでも腹の立つやつだ。